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おいどんの日記ブログ

ブログと言うよりただの日記

ルーズリーフの車窓から

もう長い事会えてないし話せてないなぁ。お互い母になったし、私と違って子沢山母さんだから、自由に出来る時間を確保するのがかなり大変。よって会えずにもう何年も経つ。いちばん下の子が今何歳かもわかんないくらい。□子、元気かなぁ?

高校の友人や同級生とは全く別の道を選んで(選んでと言うか親との約束だったから)専門学校へ進学した為、がっつり友人だったり仲の良かった同級生とは離ればなれで、全く新しい人間関係をスタートさせる事になったけど、同じ小中学校だった顔見知りがいたり、高校で違うクラスだったりした子がいて、友達が出来るのにそう時間はかからなかった。
女子だけしかいなかったから、良い意味でも悪い意味でも女子校のノリで楽しく新生活が始まった。

毎朝、バタバタしながら支度をしてバスに乗り、イヤホンから流れる音楽をお供に通学していると、私と同じ制服の人が乗ってくる事に気付いた。
同じクラスの人だ。あの人なんて名前の人だっけな…
顔は知っているけど、まだ名前も知らないクラスメイト。ショートカットでボーイッシュ。雰囲気は凄くクールで、私よりもうんと背が高い。第一印象はそんな感じだったかな。同じバス停で降りて、学校まで暫く歩いていくんだけど、前の方を歩く名も知らぬクラスメイトの背中を眺めて登校していた。
何となく声を掛けづらい雰囲気を漂わせていたから、同じバスになっても話したりする事はなかった。
入学してしばらくすると、オリエンテーションの一貫で、とある遊園地へクラス全員で遊びに行く親睦行事みたいなものがあり、自宅近くのバス停からピックアップしてもらい目的地の遊園地へ向かった。それぞれ最寄りのバス停から次々と乗り込んで来るクラスメイトの中に、あのクールなクラスメイトも居た。が!毎朝見ていた制服のあのクールな印象とは全く違う、強いインパクトが私の中でがっちりハマってしまうのだ。
その頃流行っていたエスニック系の服装で、ますますボーイッシュさが際立ち、しかも片手にオロナミンCを持っていた。早朝からオロナミンC。なんてエネルギッシュ!クールなのにオロナミンC
私が勝手に決めつけたイメージとのギャップを感じて、
この人、ただもんじゃないかも…
と、勝手にワクワクしてしまったのだ。

偶然にも、私の座席の後ろへ座ったその人は、私の隣に座っていた友人とは少し話をする間柄になっていたようで、後ろと前で会話していた。そのやり取りを聞いていると、高校時代はバレー部だった事(その為ショートカットでボーイッシュだった)、高校は進学校だった事、住んでいる所などがわかった。だけどそんな事より、私にはどうしても朝イチの飲み物に選んだ物がオロナミンCだった事にツボっていて、絶対に面白い人のはずなんだけどなぁ…と勝手に思いながら、2人の会話を聞いていた。
いつの間にか私も会話に加わり、他愛もない話をしていると、なぜか大相撲の話になり、報奨金を受け取るいわゆる「ごっつぁんです」の仕草を、そのクールなクラスメイトが完璧にやってみせたのだ。寸分違わずに。
きたーっ!ほらやっぱり違うじゃん!他の女子はそんなの完璧に出来ないよ!木村庄之助の話なんかしないって!どうやらこの人、私と全く同じ感覚を持つ人だ。もうワクワクが止まらない。横の友人そっちのけで会話が弾み、なぜか【〇〇と言えば何?】と言う、自分独自の色んなイメージを言い合いっこする話になり、ここで遂に決定的な瞬間が訪れる。

タバコといえば…?

私「藤竜也!」その人「藤竜也!」

同時に言い放った人物が藤竜也。あり得ない。普通は銘柄とかじゃないの?なんで藤竜也なの??
もうツボがまるで同じ。話が合わない筈がない。
自分が面白いと感じる物は、その人にとっても面白いのだ。その瞬間からその人は何十年来の友・□子となる。

授業中にコソコソと回し合う手紙の中身は、他の友人達には理解不能で、わたしと□子のツボにだけハマる怪文書やイラストだったりした。みんなで話していて、私と□子の話がエスカレートしてくると、また始まった~(笑)みたいな感じで、見守る制度があるかのような雰囲気まで生まれていた。
まわりの友人達いわく、我々はマニアックらしく、訳がわからないけど2人が話しているのを見ていると、本当に楽しそうに笑っているから、つられて笑えてしまうと言っていたっけ。
その当時、深夜番組に竹中直人のコント番組があっていたけど、私と□子以外誰一人として知らず、放送の翌日は、
「昨日見た?!とっくりブラザーズやったよ!」
「見たー!ショスタコビッチ三郎太も!!」
と盛り上がり、お年頃の女子とは思えぬワードが溢れる日常を送っていた。面白いと思うツボがこれほど一緒の赤の他人に出会えるのって、本当にラッキーな事だと思う。

□子は私と違い、頭が良くて顔もキレイで、背もシュッ!と高く、性格もよく面白くてみんなの人気者だった。
そんな人が私の様なヤツの友人になり、真剣な話やら恋愛やら、しょーもない私の悩みなどを打ち明けられる親友となった事は、私にとって幸せな偶然なんだと今でも思う。

卒業後、それぞれ就職してしばらく経った頃、実家の自分の部屋から大量の手紙が出てきた。中学高校時代の友人達との手紙もあったが、その中でも一際大量だったのが□子との手紙だった。読み返すと、未だに笑いが堪えられない様な中身。
その中に、めちゃくちゃ小さい紙切れがあって、よく見るとそれは真っ白いルーズリーフの四角いリングホールの部分で、小さくイラストと文字が描いてある。

世界の車窓から

その文字の横に、列車の車窓に見建てたリングホールから、人が外に乗り出して手を振っているイラストが。この、他の人にはきっと伝わらない自分達だけの世界。同じ事で笑える事って、本当に幸せな事だと思う。私の子もラッキーな事にツボが同じ。
だから2人で同じタイミングで笑う。笑ってる時って凄い幸せな時間だ。

ねぇ□子、最近テレビ見れてる?見れてるなら誰がおもしろい?CMだとアレかなー。
お互いに別々の場所で暮らしていても、今もツボがシンクロしてるといいね。